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建設業許可の経営事項審査(経審)の概要と実務を解説

解説 | 公開日: | 最終更新:

経営事項審査(経審)とは

経営事項審査は、建設業法に基づき建設業許可を持つ事業者を対象に、許可の更新時(原則5年ごと)に実施される審査です。工事の受注実績・純利益・営業年数・人事計算等の指標から点数を算出し、施工能力・経営状態を評価します。建設工事の受注額に応じて請け負える工事の範囲を定める「施工能力」の判断材料にも使われます。

経審の時期と講習義務

  1. 許可の有効期間(5年)のうち、経審の申請は更新手続きと一緒に行う
  2. 工事経歴や直近の決算書等を用意し、算定表(経審の計算書)を作成
  3. 経営事項審査の結果に基づき、経営審査点数が算出される
  4. 許可更新時には、経営事項審査講習(都道府県・建設業協会等が実施)の受講が必須

審査項目の主な指標

  • 施工能力: 直近2か年の完成工事高(受注実績)から算出
  • 経営規模: 純利益・営業年数・人事計算(役員・技術者・常勤従業員の数)
  • 工事実績: 主要工事の規模・種別

点数が低い場合は、施工能力・経営状態が弱いと評価され、受注競争や入札の際に不利になる場合があります。特に人事計算は、役員・常勤従業員の数で加点されるため、人員の確保が経営上の重要な課題です。

注意点

実務上の注意点

  • 決算書の準備: 経審には直近の決算書(個人なら青色申告等)が必要。提出先は許可を管轄する都道府県・地方整備局
  • 講習の受講漏れ: 講習を受けていないと更新できず、許可の有効期間が切れる恐れがある
  • 人員の増減: 常勤従業員の数が少ないと点数が下がるため、雇用・社会保障の整備が重要
  • 工事実績の記録: 工事経歴書を毎年整理し、申請時に漏れがないようにする

経審の基本の考え方

「決算書・人事・工事実績の3点を年次で整える」ことが、経審の点数を上げ、許可更新を円滑にする基本です。

制度の詳細は、国土交通省の公式案内または各都道府県の建設業許可窓口でご確認ください。

経審の点数を構成する要素をもう少し詳しく

経営審査点数は、いくつかの指標から算定されます。大きな柱は施工能力で、直近の完成工事高から算出される点数が中心になります。ここに、営業年数・純利益などの経営の安定性を示す要素、役員や常勤従業員の数による人事計算、主要工事の実績などが加わって総合点が作られます。各要素の配点や計算方法は、都道府県・地方整備局の算定表(計算書)に従うため、自社の点数を事前にシミュレーションするには、その表に沿って数字を埋めていくのが確実です。

実務上の勘所は3つあります。1つ目は完成工事高の拾い方で、下請工事を含む売上の範囲を正確に把握すること。2つ目は人事計算で加点できる人員を漏れなく数えること。常勤の要件を満たす役員・従業員が対象になるため、雇用形態の整理と社会保険への加入状況がそのまま点数に影響します。3つ目は決算書と工事経歴書の整合で、売上の計上時期と工事の完成時期がずれると、算定の根拠が揺れてしまいます。年度末に近い工事は、完成工事高への計上の扱いを事前に確認しておきましょう。

更新直前になって慌てない

経審は更新手続きと一体で動くため、決算書の提出が間に合わない、講習の予約が埋まっているといった理由で更新時期を逸すると、許可の有効期間が切れるリスクがあります。更新年の1年前には、予定と必要書類を点検しておくことが安全です。

経審の点数が入札・受注に与える影響

経審の結果は、公共工事を中心に、入札参加の条件や発注者の評価に使われることがあります。一定規模以上の工事では、施工能力に見合う工事しか請け負えない仕組みがあり、その判断基準として経審の点数が参照されます。点数が低いと受注できる工事の規模に上限が生じるため、事業の拡大計画がある事業者にとっては、点数の維持・向上が経営戦略そのものになります。

点数を上げるには、目先の算定テクニックより、完成工事実績を積む、常勤の人員を確保する、利益を残す経営をするという地に足のついた取り組みが基本になります。とはいえ、同じ実力でも記録の整え方で点数が変わる側面はあります。工事経歴書を毎年更新せずに溜めてしまうと、直近年の実績が正しく反映されないことがあるため、年次の整理を習慣化するのが最も費用対効果の高い対策です。

よくある質問

Q. 経審の申請は、更新時だけでなく任意でも受けられますか?

許可の更新時以外にも、施工能力の点数を更新したい場合などに、時期を限定せず申請できる取扱いが用意されている場合があります。中期に点数が上がる変化(大型工事の完成、増員など)があった場合は、管轄の窓口に申請の可否と手続きを確認するとよいでしょう。

Q. 決算が赤字だと点数は下がりますか?

純利益は経営規模を示す要素の一つのため、黒字の確保は点数面でも有利に働きます。ただし、点数は複数の指標の組み合わせで決まるため、赤字の年度があっても他の要素や翌期以降の実績で全体の水準は変わります。重要なのは、直近年の決算書を確実に整備し、算定表に沿って正確に数字を拾うことです。

Q. 講習は誰が受講すればよいですか?

許可を受けている事業者(法人なら法人として)が対象になるため、代表者や経営幹部が受講するのが一般的です。受講の機会は、都道府県・地方整備局や建設業団体が定期的に開催しており、更新手続きのスケジュールに合わせて予約するのが実務の流れです。受講証明は更新手続きの必要書類になるため、受講後は紛失しないよう保管してください。

Q. 新規の建設業許可を取ったばかりですが、最初の経審はいつですか?

新規許可の事業者は、次の更新時期(許可の有効期間の満了前)に経営事項審査と更新手続きをあわせて行うのが基本の流れです。ただし、許可取得後の工事実績が積み上がった段階で点数を更新したい場合の取扱いもあるため、窓口に確認してください。

工事経歴書の書き方と管理のコツ

経審の資料として扱われる工事経歴書は、自社が施工した工事の内容を年度ごとにまとめる書類です。記載の対象は、元請・下請を問わず施工した工事で、工事名・発注者(または親工事)・工事箇所・金額・工期などを整理します。書き方の要点は、工事の範囲を金額として正確に区切ることです。一つの工事の一部(部分施工)と全体工事を混同すると、完成工事高の算定が過大または過小になり、後の訂正が面倒になります。

管理のコツとしては、年度ごとに「受注一覧→施工中一覧→完成一覧」の3つの台帳を回し、完成したものから順に経歴書の様式に落としていく運用が勧められます。請負契約書・検査記録など、工事の内容を裏付ける書類を契約単位で保存しておくと、経審の申請時に慌てずに済みます。下請工事の場合は、親工事の情報(発注者・工事名・親工事の金額等)を把握できるように、請負先との契約書類の管理も合わせて整えましょう。

年度ごとの整理セット

決算書、工事経歴書、人事(常勤の役員・従業員)の把握。この3点を年度ごとに揃えておけば、経審の申請資料はほぼ完成します。年度末の後1か月で過去分をまとめるのは難しいため、四半期ごとの小掃除が現実的です。

許可の種類と経審の関係を整理する

建設業許可には、特定建設業許可と一般建設業許可の区分があり、 施工対象となる工事の発注額や、下請けの施工体制に関する要件が異なります。経審で算出される施工能力は、こうした区分や請け負える工事の規模の判断に使われるため、どちらの許可を持ち、どの規模の工事を目指すのかで、経営面の戦略が変わります。元請としての受注を増やしたい事業者は、施工能力の点数を意識的に引き上げる必要がありますし、専門工事に特化する事業者は、工事実績の種別をそろえることが評価に効きます。

また、許可業種は建設業法上の28業種に分かれており、土木・建築・設備など業種ごとに許可と経審の対象が決まります。業種を追加する場合の手続き(業種の追加許可)と、その業種の実績・人事計算の準備も、中期の経営計画に組み込んでおくと、更新のタイミングで一気に対応するより負担が軽くなります。許可の区分・業種の詳細は、国土交通省や各都道府県の建設業許可窓口の案内を参照してください。

なお、許可要件となる人的要件(専任技術者)の詳細は、建設業許可の専任技術者要件 ― 資格と常勤要件を解説で整理しています。

データで見る建設業と行政処分

当サイトが収集した行政処分5,362件のうち、国土交通省によるものは1,289件(全体の24.0%)で、主な処分理由の例には建設業法違反・宅建業法違反が挙げられています。業界別の集計(推定値を含む)では、不動産・建設は1,420件です。経営事項審査や許可更新は、こうした違反・処分と隣り合わせの実務であることが数字からも読み取れます。

  • 国土交通省の処分: 1,289件(全体の24.0%)。建設業法違反・宅建業法違反が主な処分理由の例です。
  • 業界別の集計(推定値を含む): 不動産・建設は1,420件。許可・経審の維持は、日々の法令遵守と記録の整備が土台になります。

※当サイトが各省庁・機関の公表資料をもとに収集・分類した行政処分5,362件(2005〜2026年・14省庁・機関)の独自集計値です。業界別・年度別・地域別・再発率は推定値を含みます。集計方法は統計レポート・データ公開ページに記載しています。

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執筆: 行政情報部 編集部(運営: sanbonko)

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